【GDC2019 特集②】VR市場の成長、まだまだこれから
皆さんこんにちはー! ビジネス開発部のM.T.です。
今年の3月にサンフランシスコにて開催されました、『GDC 2019』に参加してきました。
そんなわけで、約半年ぶりに『あまたま』にて執筆させていただきます。
GDCで拝聴した数多くのトークの中で、特に自分にとって有意義であったものをレポートさせていただきます。
そのタイトルは『Digging for Fire: Virtual Reality Gaming 2019』、
日本語に訳すと『2019年のVR市場の現状』という意味合いがあります。
トーク元出典リンク:https://www.gdcvault.com/play/1026482/Digging-for-Fire-Virtual-Reality (有料)
僕自身もこの半年の間に、従来の営業業務に加えて、あまたが今年発売するVRタイトル『Last Labyrinth(ラストラビリンス)』の海外ビジネス展開も担当することになったので、色んな意味で収益性の高いトークでした。(『Last Labyrinth』についてはこちら)
ちなみに、この記事に使う画像はほとんど、出張後の社内発表用に個人の解釈を加えてまとめたスライドです。
登壇者 Adam Orth 氏
登壇者は、現在Digital Sunriseに所属するAdam Orth氏です。『ADR1FT』と『Firewall Zero Hour』等の開発に携わった非常に著名な方です。画像で彼が被っているのは、知る人ぞ知る、初代のOculus HMD機器『Oculus Rift DK1』です。これを見るだけでもVRの黎明期から関わってきた方だという事がお分かりいただけるかと思います。
VR市場規模
グラフ出典:https://www.roadtovr.com/2018-ends-with-a-record-number-of-vr-headsets-on-steam/
「VR市場はどのぐらいの規模があるの?」という質問に対して、
Adam氏のおおよその推測だと、発表当時、世界中に700万台前後のHMDが存在していたのではないかとの事。(発表後の翌週に、「PSVRの世界販売台数が420万台突破」の情報が発表されたので、正確にいうと800万台の数字がより近い感じ。)HMD機器の普及率からみると、PS4コンソールを持っている客層の中で、PSVR機器の所持率が4.5%~5%前後となっており、全VR市場の約5割を占めていますが、それに対して、Steam上のVRHMDの所持率が1%にも及んでいないそうです。
この数字だけを見ると、「PSVRの普及率が圧倒的に高い」と思うかもしれないですが、この間にSteamの全体ユーザー数が10億ユーザーを越えたことも発表されたことがあるので、1%未満でも相当の数ではあります。
また、SteamのVRHMDの所持率データも、アンケート集計に合意したユーザーのみから受け取ったデータでもありますので、実態と乖離してる可能性も少なからずあるでしょう。ということで、コンソールであれPCであれ、いずれのプラットフォーム上ともに、VRの成長余地がまだまだ十分あるなと感じました。
また、VRタイトルの成績からいうと、過去に1億円の売上に達成したタイトルの数は60本前後であり、ランキング上位のタイトルは10億円の売上も超えてたそうです。
すでに成熟したコンソール市場やモバイル市場と比較すれば、1億ラインを超えることは珍しくありませんが、「ユーザーの心に刺さる作品を出せば、例えVRでも買ってくれる方がいる。」という事がわかる数字ですよね。
Oculus・VIVE・PSVR、それぞれの販売台数と対応タイトル実績の推測
Adam氏によるOculus、VIVEとPSVR、それぞれの販売台数と対応タイトル実績の推測を共有します。
oculus |
|
VIVE 販売台数:150万台 1億円以上売り上げ:12タイトル 2億円以上売り上げ:13タイトル 画像出典:https://www.moguravr.com/vive-cosmos-interview/ |
|
PlayStation(R)VR 販売台数:420万台 1億円以上の売り上げ:23タイトル 5億円以上の売り上げ:8タイトル 累計販売:2千200万本のソフトウェア 画像出典:https://www.gdcvault.com/play/1026482/Digging-for-Fire-Virtual-Reality |
一見、Oculusの販売台数はPSVRの半分を下回ってるのですが、今後はOculus Quest(後述)の影響で、もしかしたらPSVRの台数を追い越すかもしれませんね。
VR普及率が伸びない4つの原因
トークの後半には、「なぜVRやVRゲームがまだ流行っていないの?」というテーマが軸となりました。
Adam氏のTwitter上のアンケートによると、下記の4つの原因があげられたそうです。
1.VR対応するための機材のコストが高い
2.VRのHMDのワイヤーが邪魔
3.世の中に、良いVR作品がない
4.VRを遊ぶためには大面積の空間が必要なので、スペースを確保することがめんどくさい。
なるほどと頷ける4つの原因ですが、なんと!つい先月の25日に発売された、オールインワン型の『Oculus Quest』は、ワイヤーなしのスタンドアロン型です。こちらの発売により1、2、と4の問題が一気に解決されました!
故に、Adam氏は『Oculus Quest』に非常に高い期待を寄せておりました。
画像出典:https://vr-game.pw/oculus-quest/oculus-quest-and-next-vr/
気になる方は以下の記事も参考にしてみてください。
・ Rift S + QuestがOculusの主力:https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1175528.html
・Questは初年間で1,731,000台の販売台数想定: https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1175528.html
VR市場のこれから
グラフ出典:https://www.moguravr.com/superdata-oculus-quest/
総括として、Adam氏は「VRはまだまだ、これから伸びる」と語ってくれました。
市場としての成長余地がまだ大きいし、ハードとソフト面で各業者さんの技術が磨かれていき、「VRならでは」の傑作が現れてくるだろうとおっしゃっておりました。
僕自身も、そう感じています。
最後ですが、前述の「3.世の中に、良いVR作品がない」(コンテンツの貧しさ)について、問題解決への取り組みでもある弊社のVR作品『Last Labyrinth(ラストラビリンス)』にもぜひ、関心を寄せてくださいね!
(M.T.)